『傑力珍怪』が、なぜ始まったか。その4

……とまあそんなこんなで。春先まで、にいや家で延々続いた珍品ビデオ&鍋会。
いい加減飽きて来た頃に「じゃあ、みんなの作品をUPLINKさんに見てもらおうか」という話に。
↓これは鍋食いながら、みんなに見せてたラディスラフ・スタレヴィッチの『マスコット』です。

で、昨年の「W/3」からご無沙汰だった支配人のKさんに『大拳銃』『魔眼』『地獄に堕ちた』の三本をお渡ししておいたところ。
「もしもしにいやさん」とKさんから電話が。「作品見ました、二週間上映しましょう」と怒濤の展開に。
僕としては「春頃に話を持って行けば秋頃にUPLINK FACTORY(一階の大きい方の劇場)で2.3日はやらせてもらえるかなあ……」という自主上映程度のつもりだったのです。
しかし、やらせてもらえるならやるしかない! と腹をくくって、本興行前の試写会(先行特別上映会)をドタバタで準備してる頃。
大畑君から「『大拳銃』が、ぴあで入選してしまったので、ぴあの上映より先には劇場にかけられません」との報告が。
ぴあ入選ってのは素晴らしい話なんだけど、試写会が五月。本興行は直後の六月か七月頃の予定だったのに、ぴあの上映が、なんと、七月!
「と言う事は……本興行は八月?!」なな、なんと、興行の鬼門と言われてる八月になってしまいました。
UPLINKさんの都合もありますから、UPLINK X七月興行の作品が終わった後からの上映になるわけですが。さてさて……。
↓写真はぴあで入選した大畑君の勇姿です。この背広は比木君からの借り物。ワイシャツはにいやと一緒に吉祥寺で探して買った物です。ちょっと緊張気味ですね。
ぴあサイトはこちら→PFFアワード|PFF(ぴあフィルムフェスティバル)公式サイト

で、ついに決まりました! 上映は8/8(金)、なんと「ハチ公の日」です。
しかしそうなると、二週目は……お盆じゃないですか!
やばい、これはやばい。さすがにお盆には勝てません。
Kさんと相談の結果「二週間の興行で、二週目がお盆じゃお客さんは来ないから……いっその事三週間やりますか」「ええ〜〜〜っ!」
二週間でも荷が重いのに、三週間とは……。
「やるかやらないか。やる気があるかどうかです!」と、Kさんはスポ根ドラマの鬼コーチか、難病患者に激を飛ばすお医者さんのような口調に。
↓スポ根ドラマの代表で、『柔道一直線』をアップしようとしたけど、良いのがないのでこれで。
小学館の学習雑誌「小学六年生」の付録のソノシートですって。

「ううむ、こうなったら仕方ない。恐いけど三週間……」
と思ってたら、Kさんが。
「でも、興行ってのは二週単位ですからね、いっその事四週間やりません?」
「え、そんな無茶な!」「やる気があるかないかです!」「……」「四週やれば9月にひっかかります。そうすれば夏休み明けの学生も帰って来るし」「……」「三週やって、追加で伸ばすよりは最初から四週やった方が客数も落ちません」
と言う事で、2.3日の自主上映の予定がいつのまにか一ヶ月興行に!
今までも偶然に偶然が重なってここまで来ました。なんだか神様に背中をどつかれてるような気がして来ました。
「ええい!もうこうなったら行っちゃえ行っちゃえ!」
と言う事でなんとまあ、一ヶ月のロングラン決定、と相成りました。

本当不思議ですね。
まさか美学校9期生の皆さんと再開して、鍋会飲み会の果てにUPLINKさんに道がつながっているとは。
先日の『魔眼』受賞も、なぜか間野君の故郷、長岡での受賞……。
不思議な事もあるもんです。

・9期生の作品に僕が出演してなかったら……。
・ちぇんさんが、僕のバイト先に入って来なかったら……。
・間野君が僕の近所に住んでなかったら……。
・大畑君と伊藤君が中央線沿線に住んでなかったら……。
・昨年「W/3」をUPLINKさんで上映してなかったら……。
・『大拳銃』が、ぴあで入選してなかったら……。

その他諸々……、どれが欠けても『傑力珍怪』が一ヶ月興行になる事は無かったのです。
ゲスト作品を出品して下さった方々も、これまた書ききれないほどの不思議なご縁があって作品をお借り出来たわけです。
僕は常々、どんな小さな作品でも完成するのは「奇跡」だと考えています。
何かが起こる時、そこには目に見えない様々な要因がからみあっている物です。
今回の『傑力珍怪』は、まさに思いもよらぬご縁の賜物でございました。
見にきて下さった皆様、ゲスト出品者の皆様、UPLINKの皆様、映画秘宝の皆様、映画芸術の皆様、応援して下さった各地の皆様、本当にありがとうございました。
「傑力珍怪」、まだまだ続きます。今後ともよろしくお願い致します。

と言う事で、引っ張りまくった「なぜ始まったか」シリーズも、終わりにしたいと思います。
ご愛読ありがとうございました。