作品紹介 『憧れの人』


2008/25分/DV

監督:玉川直人
キャスト:真砂豪/東美伽/芝博文/富松あさこ
スタッフ:名倉愛/成清翔太/伊藤淳/梶田豊土/大畑創


あらすじ
仕事ないのに酒を飲み人の家に転がり込んでは物を盗む。昼間から公園で、犬と遊んでばかり。
そんな好き勝手に振舞う兄に翻弄される弟。ついには恋人にまで手を出され・・・
もう、みんなの我慢も限界だ!!!
ぼのぼのした中に毒が光る、兄弟映画の傑作!!!
ところで、この懐かしさはなんだろう!?


解説
この映画の最大の魅力は個性的な俳優陣の競演。どの役も見事なキャスティングで、登場人物の感情を生々しく画面に焼き付けています。

どうしようもないダメ兄貴を演じたのは真砂豪さん、数多くの映画や舞台で活躍されている方で、オーディションで監督、スタッフと意気投合し、そのひょうひょうとした物腰と人柄をみて役をお願いしたという経緯。
兄貴の恋人役を演じられた東美伽さんは、映画美学校の講師である古澤健さんが監督し、生徒がスタッフとして制作に参加した『先生、夢まちがえた』に出演され、その時に演技を間近で見た監督の玉川さんが今作の出演を依頼しました。東さんは井土紀州監督の『ラザロ』で怪物マユミを堂々と演じ切って、大々的な評価を受けた素晴らしい女優さんです。

兄にとにかく迷惑をかけられる弟役は芝博文さん、舞台を中心に活躍されている役者さんで、兄への複雑な感情をうまく表現されていました。現場では監督の意図を汲んで素早く対応する、クレバーな役者さんです。

富松さんは兄弟の混乱の原因となる魅力的な女性を演じられました。彼女は普段から独特な雰囲気をかもしだす人で、それは映画のなかの役柄に説得力をもって表れていると思います。

そんな俳優陣が映画では、困惑、怒り、哀しみといった様々な感情を観客にぶつけてきます。それゆえ映画は身近な生活圏を舞台にしていますが、ただ玉川さんが描く世界は時折、日常の重力から解放される瞬間があり、それは観客の現実感覚を微妙に揺さぶる力があります。

そんな発想の軽快さを言葉ではうまく伝えられませんが、映画をご覧になれば必ず分かっていただけると思います。


『憧れの人』のような映画はなかなか他にないと思います。この機会にぜひお見逃しのない様、2月12日はアップリンクにご来場よろしくお願いします。