『魔眼』・制作悲話「血は血ですすがれる」の巻き


どうも『魔眼』を撮りました伊藤です。

『魔眼』をご覧になった方ならお分かりかと思いますが、この映画、アホほど血が出ます。主要な登場人物はだいたい出血します。
そんなわけで血の苦手な人は容赦なく上映中にご帰宅されましたが、一方、褒めていただくのもこの出血満載の大殺戮だったりします。
良くも悪くもこの凄惨なシーンを気合入れて撮った結果だと思います。

さて、謎の男によって主人公真知子の母と妹が襲撃されるこのシーンですが、劇中の血はすべて美術部による手作りの血糊です。量にして2ℓペットボトル×5本分、計10ℓ。成人男子2人分です。

これ、作り方も何もなく食紅を水に溶いて片栗粉でとろみをつけたら出来上がり!の超簡単な代物です。
血はサラサラとドロドロの2種類を作ってもらいました。
これは作中人物のコレステロール値によって使い分けるためではなく、撮影用途の違いによって準備したものです。

頚動脈の傷口からパーと噴き出すシーンでは、チューブを通してポンプで押し出すのでサラサラを使います。途中で詰まると映画も人間も終わりです。

ドロドロは基本、床に撒いたり、死体にかけたりする為のもの。ハッタリが効くように赤黒くて粘り気のある気持ち悪いものを発注しました。

ちなみにこの血糊ですが肌についたら非常に落ちにくく、植物性洗剤を使わないとちゃんと綺麗になりません。そのため、撮影はちょくちょくストップ、僕らは血がすすがれるのをひたすら待っていたのです。

予定時刻を大幅に超えて撮り終えたときにはロケ場所を借りてたN君のお父さんが帰宅。
僕は深く深く頭を下げてなんとか事なきを得たのでした。

以上