北京リポート10

一ヶ月のご無沙汰でした。
ちょっとゴタゴタありまして、忙殺されておりました。

さて、あまりに間が開いたんで何を書いていたか、どこまで行ったか。
ああそうそう。オリンピック以後の北京の移り変わりでした。
次にご紹介するのはこの作品。

中國1971
 China 1971
Director:Henri Roanne  Gérard Valet

これはなんと、1971年の中国のドキュメンタリー。作ったのはベルギーのRoanneさんとValetさんのお二人。
ホテルから高野君と一緒に出ようとした特、白髪のお爺さんと出会いました、それがRoanneさん。話してたら「今日、自分が39年前に作った映画が上映される」との事。1971年といえばまだ日本と中国は国交を回復していません。我々の知らない時代の中国です。これは観ねば!
共同監督のValetさんは残念ながらお亡くなりになったそうです。

*作品のスチルは上の一枚だけなんで、会場の中庭写真をちょこちょこ挟みながら解説。


*会場で食べたカレー、普通のチキンカレーでした。


『中國1971』は、ベルギーの作品ですから、ナレーションはフランス語、字幕は中国語。さっぱりわからん。
しかし当時の中国の様子は見てるだけでも面白いです。この映画は、庶民の暮し、産業、軍事、医療など様々な中国を見せてくれます。まだまだ毛沢東は神様の時代ですから、みんな人民服着て、赤い手帳持って「毛沢東万歳!」とやたら叫びます。核実験のフィルムは、恐らく中国政府から借りた物でしょう。Roanneさん達がどこでも自由にカメラを回せたとは思えません。
特に面白かったのは医療のパート。まず経路図がド〜ンと出て、なにやらナレーションが。恐らく「中国には針治療というものがある」とか言ってるんでしょう。10歳くらいの女の子が体中に針を打たれています。突然立ち上がってにこやかに「@%&””#!!!」と叫びます。場内大爆笑。
恐らく病気の女の子に針を打って「治った!針治療で治った!」とでも叫ばせてるんでしょうね。


*中庭に放置されてたイージーライダーなバイク。タイヤがへこんでます。でもカッコいい。

さらに今度は横になったおじさんが耳の後ろに針を打たれています。これは針麻酔のよう。カメラがゆっくりパンすると……なんと、おじさんは開腹手術を受けているのです。ここでまた大爆笑。外科医が映され、おじさんのお腹の中もしっかり映っています。
もう一度カメラが逆にパンすると、なんとおじさんは手術を受けながらご飯を食ってるではないですか。さらに大爆笑。
つまり「針麻酔はこれほど効き目がある」という事なんでしょうね。たぶんこういうのも、写される側が演出して「こう撮れ」とRoanneさん達に指示を出してるんでしょう。
会場内は中国の人たちで立ち見の満員。現代の中国とのあまりの差に、会場は笑いが絶えませんでした。しかし中国はこの四十年で恐ろしいほどの変わりようです。『中國1971』を見た後は、まさに先に紹介した『火紅的青春』のお婆さんになった気分です。


*これは中庭のパラソル。

以前の記事でも書きましたが、中国は今もの凄い勢いで変化しています。その象徴が……トイレ。
さてさて、汚い話に戻りましたよ。
我々の部屋のトイレ詰まり(というより、逆流)事件。その話をしたらナスカさんと、その親友チーちゃんがこう言いました。「あたし達のトイレも詰まってるんです、それも黒いビニール袋が!」そうなのです。犯人は最初から分かっていたのです。犯人は我々がホテルを留守にしている間に部屋に入った人間。夜帰ると部屋は掃除されてて(と言っても、汚れたカップなどは洗わずにそのまま並べ直すだけ……ですが)、トイレのゴミも捨ててありました。トイレのゴミ箱には黒いビニール袋が被せてあったのですが、それは無くなっていました……。
中国に来たばかりの日本人でも「トイレにトイレットペーパーは流してはいけない」と気をつけてるのに、平気でビニール袋ごと流してトイレを詰まらせる極悪非道の犯人、そりゃ当然ホテルの従業員です。


*これは中庭の錆びた金属棒とコンクリ。

トイレの話をしてたらスタッフの中山さんが「先日、うちの会場でも騒ぎがあって……」
なんと、アフリカから来ていた監督が血相変えて走って来て「タイヘンダヨ、トイレガゴハンデ、ツマッテルヨ!」
中山さんが見に行くと、トイレに残飯が山盛りになってトイレが詰まってるのです。これも当然会場のレストルーム職員の仕業。
中山さん曰く「それが中国なんですよ」恐ろしい……。
さて、ちょっと話が前後しますが。高野君の親友モッちゃん帰ってしまい、我々には通訳が居なくなってしまいました。
しかしそこに颯爽と現れたのがナスカさんの親友、先に書いたチーちゃん。
彼女は中国に留学して、今は上海に住んでいるそうです。なんと運のいい事に、後半はチーちゃんが通訳をしてくれる事になったのです。


*これはホテルの案内板。「負一楼」ってのは地下一階でしょうね。「男女沐浴区」だそうです。これを見ると三階までしか案内がありません。

さてさてさて、続いてホテル話。では、ホテルの四階は?
以前のホテル全景を見ていただけば分かりますが、このホテルは四階建て。しかし、四階には窓も嵌まっていません。「いったい四階はどうなってるんだろう?」という事で、高野君と二人で上ってみました。すると、この状態……。


はい、四階は廃墟でした。見渡すとこうです。

中山さんに聞いてみました。「もしかして建設が北京オリンピックに間に合わなくて、四階だけ未完成とか?」
中山さん曰く「いえ、このホテルが出来たのは一年前ですから」「………」

「でも、じゃあこの状態は?」「彼らからしたら、これで完成してるのかもしれませんね」「………」

いやはや、なにがなんだか分かりません。

つづく