北京リポート6

これはバスからの風景。大都会から農村へと、相変わらずクラクションを鳴らしまくりながら走ります。

やっとこさ会場に着きます。

このおしゃれなカフェみたいなのが上映会場の入り口。

今日の夜は実験映画の上映です。長編の劇映画やドキュメンタリーは字幕の関係でちょっと苦しいのですが、実験映画や短編アニメーションなら我々でも楽しめます。作品に関してはナスカさんがかなり詳細にコメントしてるので、こちらもどうぞ。
イデアの奇行(お休み中)
僕はナスカさんが書かれてない作品中心にコメントして行きます。


まずはこれ『黄浦』という作品。監督はアメリカ人のJ.P.Sniadeckiさん。黄浦江(こうほうこう)とは上海の川だそうです。万博もこのあたりが会場。まずはカメラが車の窓から街の風景を写します。雨が降っていて、窓外がぼやけたり歪んで見えたり、美しいです。やがてカメラは船の上に乗っかって川を進んでいきます。人間は映らず、延々川の風景。気持ち良いです。やがて接岸する船。カットが変わって船の全景。徐々に暗くなっていきます。夜になるんでしょうか。船はもう一度動き始めます。やがてカメラは大都会を捉えます。船は動きを止め、大都会を写し続けます。写真はそのカット。どんどん暗くなっていきます。駒落とししてるんでしょうか? 早回ししてるようでもないし。数分もしないうちに暗くなり、大きなネオンサインが光り始めます。ボーッと見てると、今度はどんどん明るくなっていきます。なるほど、これは日食の日の撮影なんですね。明るくなった街を映しながら、また船は動き始めます。小雨でしょうか、レンズに水滴がついてます。やがて船は桟橋に近づきます。建物に人の影がかすかに見えています……。これで27分。
僕はこういう風景を写しただけの作品が大好きなんです。

お次はこれ。『太平川』監督は海波(Hai Bo)さん。これもやはり三脚にカメラを据えて、風景を撮っただけの作品。靄に霞んだ農村、遥か彼方からトラクターがゴトゴト走ってきます。カメラの前までは知ってきたトラクターに乗った男が笑いかけます。第一部終わり。
次はまた農村の広い道。お祭りでしょうか、若者たちが爆竹の準備をしてるようです。遠くからまたトラクターが干し草を山盛り摘んでトロトロ走ってきます。(嘘のように超々々々山盛りです。10メートルはないと思うけど……。東映アニメの『龍の子太郎』で、太郎が山盛りの稲を担ぐシーンがありますが、あんな感じ)若者たちが道に仕掛けた爆竹が干し草の下で破裂します。大笑いの若者たち。トラクターのおじさんも笑っています。
第三部は村の老人たち。道の向こうから数人の(写真の)お爺さんたちが歩いてきます。それだけ。
僕はこの作品にもの凄く感動してしまったのです。
僕の趣味は写真です。アニメーションを作ってるくせに、好きなのは静止画なのです。でも作ってるのはムービー。『太平川』は、まさに静止画の美しさと強さを持ったムービーでした。

後でスタッフの中山さんに通訳してもらって作者の方とお話ししましたが、なんとこの方、スチルカメラマンとして世界的に有名な方だそうで。「この映画祭でいろんな映画を見て、自分も撮ってみようかと思ったんだ」そうです。写真が海波さん。お話ししてたらまさに「大人(たいじん)」の風格でした。こういう雰囲気の人は日本にはいませんね。お会いできてよかったです。

これは会場で上映終了後に出る果物。大抵毎日、中国ビールとピーナッツと、この果物盛り合わせが出るのですが。これがほとんど味が無い。ナスカさんが屋台で果物買ったけど、やはり味が無かったそうで。あちらの果物はそういうもんなのか?でも喉を潤すにはちょうど良いです。

さて、深夜に帰ったホテルの様子。これがカードキー。僕と高野君の部屋は最初はこれで開いてたんだけど、磯辺さんやナスカさんの部屋は全然開かず。一々フロントまで行って「鍵を開けてくれ〜〜!」と言って、パソコンを操作してもらわねば開かないのです。

運が良いときは、廊下をホテルマンのお兄ちゃんがウロウロしてて、頼んだら嬉しそうな顔をしてマスターキーで開けてくれるんですけど。あの人、もしかして巡回鍵開け係だったのか?
僕は思うんですけど、こういう物がそうそう故障するはず無いんですよ。恐らくチェックインしてる客の部屋は、各部屋のカードキーが有効になるように設定するはずなんだけど、職員の人がその方法を知らないんじゃないかと。

これがベッド。なんだか高級そうに見えますけど、見えるだけですからね。

これがベッド脇のテーブル。前面に色々スイッチがありますけど、ほとんど用を成しません。XX灯とか書いてあるけど、そんなもの存在し無かったりするし。テレビのスイッチもあって、これを押さねば電波が受信できないのです。磯部さんもナスカさんもこれに気づかず、何日かテレビを見れないまま過ごしていました。ベッド脇のライトの光量つまみもあるんですが、ある日いじってたらガリガリした感触で、それからライトはつかなくなりました。

中国では深夜に毎日、古い戦争映画をやってます。ほとんどは悪い日本人をやっつける作品なんですが、これが素晴らしい!撮影も役者さんも美術も音楽も。何もかも素晴らしいのです。大抵最後の二十分くらいしか見れないんで、お話もよくわからないんですけど。僕が最初に見たのは気の狂った日本兵(将校らしい)が、なぜか「侵略者墓」と書かれた墓標を「うぎゃ〜〜〜っ!」と日本刀で切ると、全然意味の分からない巨大な岩(直径10メートルくらい、祈りの文字のような物が書かれている)が「どど〜〜んっ!」と白煙を噴き上げ、超巨大な(やはり直径10メートルの)鉄瓶(みたいに見える)にメタモルフォーゼし、それを見た将校がますます狂気に陥るという映画。先のシーンは『美少女仮面ポワトリン』みたい。最後はもちろん中国の農民兵士や美しい女性兵士の皆さんが、この悪い日本兵をやっつけて終わるんですが、いやあ特撮もぶっ飛んでて面白かった。
写真は最終日に見た写真で、これは蒋介石との戦いですね。残念ながら、こういう内戦物になるとトーンがガタ落ちで、ぶっ飛び度が全然足りません。やはり内戦はデリケートなもんなんでしょうね。

これが洗面所&トイレ&シャワールーム。ホテルには一応浴場もあったらしいんですが、僕は一度も行かず。深夜になると閉まっちゃうのです。我々が帰るのはいつも午前様でしたからね。一度だけ高野君が深夜に「お風呂に入りたい」とフロントに言ったそうで。すると、なぜかフロントの人(男性か女性か知らない)が風呂場まで付き添ってきて、高野君のヌードをずっと監視してたそうです。いったいなんなんでしょう?

左下に見えるのがトイレ。中国ではトイレ話はいくらでもあるのですが、それはまた明日。
この日、高野君はモッちゃんの家に泊まるのでこの部屋は僕一人。ちょっと冷えてきたので、玄関脇の暖房を入れました。だって掛け布団薄いんだもん。しかし、ゴウゴウと凄い音がする割に全然暖かくなりません。やたらに空気だけが乾燥し、僕は風邪引いてしまったのでした。

おまけに『美少女仮面ポワトリン』をどうぞ。しかしあの中国映画、DVD欲しいなあ……。