『人喰山』ドイツを行く〜一日目

『人喰山』ドイツを行く〜一日目

ステファンさんと銀髪の美女に連れられてやって来たのは、フランクフルト大学(通称ゲーテ大学)の学生会館。ここが「ニッポンコネクション」の本部なのです。学生会館は三階建て&地下一階立て。ここにはメジャー系の作品(ニッポンシネマ)を上映する大劇場と、インディペンデント系の作品(ニッポンデジタル)を上映する中くらいの劇場があります。もちろん『人喰山』はニッポンデジタルに参加。
まずはスタッフルームで、大手饅頭を運営スタッフの菅谷さんに渡してご挨拶。菅谷さんは日本在住のめがね美人。お世話になります。二階(だったか)にはゲストルームもあり、大皿にパンにチーズやハムだけを載せただけのオープンサンドが山盛りになってます。これが美味い! 冷蔵庫には炭酸水やドイツコーラが入ってて、これらは無料。ドイツではこういう素朴な食べ物が本当に美味しかったです。パンの上にチーズとパプリカ一切れだけのせたオープンサンドも美味かった。 さらにあまり味の無い小振りなリンゴ(アップルワインを作るためのリンゴか?)も山盛りになってて、ドイツの人たちは口寂しい時にはこれをかじってました。
ゲストルームで光地君に再会。光地君は僕より一日早く到着。もう町を歩き回ってドイツの環境音を録音して回ってるそうです。さすがサウンドマン。『こんなに暗い夜』の小出君と、プロデューサーの千田さんも居ます。この三人は映画美学校の卒業生。他にも間野君のお友だちの鈴木洋平監督、ゆうばりでご一緒した『はい!もしもし、大塚薬局ですが』の勝又悠監督、『ロストガール』の山岡大祐監督、『OUR BRIEF ETERNITY』の福島拓哉監督、『ライブテープ』の松江哲明監督、『動夢アニメーション』の藤衣真菜監督、齋藤ナスカ監督、他にもたくさんの方々とご一緒。みんなオープンサンドをパクツキながらだべっています。
さて、『こんなに暗い夜』がそろそろ終わります。小出君と千田さんはトークショーに。僕も後から入れてもらって、トークの最後にちょこっと『人喰山』の宣伝をさせてもらうつもり。劇場のロビーでアレックスさんとジャスパーさんに再会。このお二人は『人喰山』をドイツに呼んでくれたり、字幕の新訳をやってくれたり、本当にお世話になってるのです。
僕はロビーでジャスパーさんに渡すDVDを出したり、配るチラシを用意したり、恒例のサンドイッチマンセットを着込んだり、なんだかんだと店開き。これがまずかった(後述)。
さて、『こんなに暗い夜』の上映は終わり、トークが始まったようです。早速僕も入れてもらおうとしたら……あらら、ドアの前に立ってるお兄ちゃんが入れてくれません。横に立ってるお姉ちゃんも入れてくれません。僕は出演者なんですけど……。と言う事を英語でぺらぺら喋れれば良かったんですけど、12時間のフライトで頭がボケボケ、言ってる事はつたわらない。とうとう俳優デビューのトークショーは不参加に終りました。残念。

通路には日本の小物(手ぬぐいや扇子など)を売るお店が出てたり、バーでビールを売ってたり、日本映画のDVD販売も行われています。さらに他の部屋では「講談実演コーナー」「茶道教室」「指圧体験コーナー」「SUSHI&TAKOYAKI」「SOBA-YA」「KARAOKE」などなど、日本の文化を体験(?)するコーナーが沢山。これらの催し会場はお客さんでいつも超満員。僕はとうとう「指圧」も「茶道」も「講談」も体験出来ませんでした。廊下には大きなクッションが置いてあって、そこに寝転がって本を読んでる人、寝てる人がゴロゴロ居ます。
さらに廊下にはゲーム機も置いてあって、ドイツの若者達がキャーキャー良いながらエヴァンゲリオンのゲームを楽しんでいます。もちろんゲームセンターの部屋もあって、そこには「ゲーセン地獄」と看板が出ています。深夜に地下に下りてみたら、そこは「SOBA-YA」&「KARAOKE」コーナー。ななな、なんと、その部屋の天井にはミラーボールみたいな光がチカチカ。唐突に屋台が置いてあってドイツ人が蕎麦を作ってます。部屋の隅にはお立ち台があり、わけのわからんジャーマンカラオケをがなってる人がいます。若者達が群れをなして蕎麦をすすりながら狂ったように踊っています。ここは蕎麦屋ディスコか? いったいここはなんなんでしょう? もう分け分かりません?! とまあ、これが会場全体の雰囲気。カオスの極み。いわば巨大な学祭なんですね。
僕は時差ぼけでフラフラ。そこにこのカオスな会場。いや、これがまずかった。
ロビーで荷物を開けた時なのか、ゲストルームに行く前か後か、全然覚えてないんですが、着いた初日にカメラを無くしました。きっとどこかに置き忘れて、誰かが持って行っちゃったんでしょうね。さらにもらったばかりのゲストパスも無くすわ、帽子も無くすわ。数えてみればいつの間にか妹の家から出て24時間以上が経ってます。いつまでたっても日が暮れないもんだから(ドイツは20時になっても昼間のように明るい)全然気がつかなかったけど、体力は限界に来てたんですね。

結局ゲストパスは菅谷さんが届けてくれて、帽子は次の日に見つかりました。でもカメラはとうとう出て来ませんでした。さようなら、ペンタックスist*DS&タムロン28〜80……。ゆうばりでは活躍してくれました。
という事で、写真が無い分長文になってます。読むのが大変と思いますが、しばらくおつきあい下さい。では、次回は明日か、明後日か、来週か……。