『傑力珍怪』が、なぜ始まったか。その2

まいど、にいやです。
『傑力珍怪』が、なぜ始まったか。その2です。

さてさて、先日はプレ『傑力珍怪』とも言うべき『W/3』の事をお話しましたが。今日はさらに昔にさかのぼります。
今から4.5年前でしょうか。間野くん達が現役学生だった頃の事です。
映画美学校の講師を勤めている井川さんから電話がかかってきました。
「9期生の実習作品で特撮が必要だ、アドバイスしてくれ」
毎度の事です。
僕はアニメーション作家なんですが、美学校で特撮が必要な時やアニメーションが必要な時、絵コンテが必要な時には呼び出されるのです。
映画美学校にはスタジオがありません。
そもそも関東大震災に耐えたと言う由緒ある銀行の建物が、現在の映画美学校校舎なのです。
建物に入るとホールがあります。ここが美学校の中枢。
ある時は教室となり、ある時は談話室となり、ある時はスタジオとなる、多目的空間です。

写ってるのは井川さんのはずですけど、顔がすっとんでますね。
恐らく、事務局の山口さんの私物魚眼レンズを借りて、ストロボ焚いて撮ったんでしょう。ここまで広いホールではありません。
話を元に戻して……。
美学校にはスタジオがありませんから、特撮などが必要な時はアニメーション的な発想で写真を使った特撮を使用する事が多かったのです。
最近はデジタル化されてしまって、僕にはお呼びがかからなくなりましたが、昔は16ミリカメラで写真アニメをコマ撮りしたりしてPプロみたいな特撮をやってたのです。

動画はPプロの『マグマ大使』。冒頭の円盤はアニメーション、空中に吸い上げられる車は模型、バックは写真。ビルの間を飛ぶロケットの場面も、恐らく手前のビルは写真でしょう。まあ、こういう手作り特撮を写真アニメーションでやってたわけです。

で、9期生の現場に呼ばれて色々と特撮のアドバイスをしました。
この時の作品は大橋礼子さんの『視界肉体旋律暗号』という作品(彼女は先日、東京芸大で『SAD CITY』という作品を撮りました)。近未来SF青春映画です。彗星が地球にぶつかりそうだ……という設定でした。で、僕は彗星の作り方をあれこれアドバイスしてたんですが、結局彗星はデジタルで合成する事になってしまいました。
そのかわり「新谷さん、出演してくれませんか」という展開に。
僕はなぜか高校の英語の先生の役で、耳くそほじくってあくびをする演技をさせられたのでした。

これがその時の写真。役名は金井虎吉。
大橋さん、勝手に画像使ってすみません。でも、僕の写真だから良いよね。
で、その時は何も考えずに出演して、アフレコして、「ああ、面白かった〜」で終わってたんですけど。
まさか、この時のご縁が、数年後『傑力珍怪』となって渋谷を一ヶ月も蹂躙する事になるとは……。
神ならぬ身の知る由もなし、なのでありました。

おまけ 僕のHP「幻のソドム城」より
健康に良さそうなことを色々と調べてみた結果
これは昔、僕が作った「美学校映画祭」(まあ、美学校の学園祭みたいな物です)のWEBチラシです。美学校の外観はこんな感じ。
もちろん花輪やモンローは立ってませんし、バカでかい看板はありませんけど。

*僕に「特撮の相談に乗ってくれ」と電話して来たのは、井川さんじゃなくて大工原正樹さんでした。ピンクやエッチVシネで名作傑作を発表されてる方です。
井川さん、大工原さんの映画に関してはこちらへどうぞ。
プロジェクトINAZUMA | Project INAZUMA


『傑力珍怪』が、なぜ始まったか。その3に続く。