おすすめ舞台『モグラ町1丁目7番地』

お久しぶりです。間野です。

今日はみなさんにぜひ見て欲しい舞台を紹介します。

龍昇企画公演『モグラ町1丁目7番地』
作/演出 前川麻子

2010年10月27日(水)〜11月3日(水・祝)こまばアゴラ劇場にて
龍昇企画とは俳優の龍昇さんが、作家、演出家、キャスト、スタッフを招いて、プロデュースするシリーズです。今回は3年連続で『モグラ町』シリーズを演出してきた前川麻子さんの「モグラ町」3作目であり、完結編です。

※詳細は下に!!!

演出の前川麻子さんのご好意で、僕は稽古場を何度も見学させていただきました。
初めて見学に行った時に思ったのは、「こんな人間関係のドラマをしみじみと描いた作品は久しぶりに観た」ということ。うまく表現できないのですが、しっくりと心になじむお芝居だな、と。

話はモグラ町に住む五人兄弟が主人公です。この五人、それぞれ貧乏、バカ、変態・・・と、ひとりも冴えた人がいない。野心も常識もない彼らですが、兄弟同士、または身近な女性たちとの会話の中に、お互いを許容するやさしさのようなものが見え隠れします。かといって素直ではないのですが、そこを隠すように見せるユーモアがこのお芝居の魅力だと思います。

また稽古場を見学させていただく中で、演出上の面白い工夫(生バンドつき。舞台造形も見もの)、そしてそれぞれの役者の魅力も大きな見所だと思いました。前川さんが役者を想定しながら書いただけあって、地の魅力がでています。ぼくがしっくりきたのは、大人の俳優が醸し出す中年期の独特な時間の流れを感じたからかもしれません。

チラシに前川さんは書いています。「だって、そんな物語を日常の隙間に忍び込ませることで『リアル人生ちょっとマシ』とでも思わないと、芝居なんてやってらんないからね」。
そのちょっとマシな感じって、身近なのにいつの間にか忘れてしまう時があります。
それを味わいに僕は何度か劇場に足を運ぼうと思っています。
みなさんも是非是非ご覧ください。


龍昇企画公演『モグラ町1丁目7番地』
作/演出 前川麻子
2010年10月27日(水)〜11月3日(水・祝)こまばアゴラ劇場にて

出演
塩野谷正幸 吉岡睦雄 稲増文 山本政保 吉田重幸 龍昇 渡辺真起子 
津田牧子 ローザ桂木 小林千里

2010年10月27日(水)〜11月3日(水・祝)こまばアゴラ劇場 地図→ http://www.komaba-agora.com/access.html

前売=3,500円 / 当日=3,700円
学生=3,000円(要事前電話予約S.T.Sのみ)

予約
e-plus→  http://eplus.jp/sys/main.jsp
S.T.S TEL 03-5272-4393(月〜土 10:00〜17:00) FAX 03-5272-5444


演出家より(チラシから抜粋)
モグラ町シリーズは、モグラ町に暮らす中年期の五人兄弟が主人公の物語だ。今回の作品がシリーズの完結編になる。とはいえ、どの作品にも大したことは起きない。ちょっとしたことで大騒ぎをし、肝心なことにはまったくまともな対応ができない、ダメな大人たちの話だからである。現実の人生には、お芝居のようにドラマティックな出来事はまず滅多に起きないし、それらが見事に丸く収まる大団円もない。ましてや、舞台崩しのように全部をぶちこわしておしまい、にできる日常は存在しない。そもそも我々は暗転も初日も千秋楽も打ち上げもない日常を、ひーひー言いながら生きているわけで。お芝居だからってモグラな兄弟どもだけに都合のいい人生をやらせると、なんだよこっちはモグラ以下の人生かよと、現実人生がよりしんどくなる。だから、モグラ兄弟の人生は今回も散々だ。夢や希望や価値など、欠片も見当たらない。
だって、そんな物語を日常の隙間に忍び込ませることで「リアル人生ちょっとマシ」とでも思わないと、芝居なんてやってらんないからね。
前川麻子