『人喰山』ドイツを行く〜成田篇 

『人喰山』ドイツを行く〜成田篇

さてさて、みなさん。やっとこさ書き始めます。
ドイツに居残った方々も全員帰国されたようです。よかったよかった。僕の方は帰国してからずっと仕事。気がつけば、ゴールデンウィークあけまでびっしり仕事が入ってます。ちょっと休みたい……。では一日目、行ってみましょう。

にいや、海外旅行は初めてです。そもそも英語を話したいとか、外国に行ってみたいとか、思った事すらありませんでした。それが突然ドイツ旅行!元々はゆうばり映画祭から『人喰山』のDVDがドイツの「ニッポンコネクション」に渡り、キューレーターのアレックスさんから声をかけて頂いたのです。国際映画祭参加はこれだから面白い。どこで誰が見てくれてるか分かりません。しかし問題は飛行機ですよ! いったいどうやってチケットを取れば良いんでしょう。成田ってどこにあるの?え〜〜、パスポート取るのってお金が必要なの?!とまあ、こういう事態でして。

なんとかチケットは取った物の、貧乏なので一番安いフランクフルト直行便、ルフトハンザで往復83000円。安けど高価い! 高価いけど安い! でも安いだけあって、映画祭が始まって二日目に到着、閉会の二日後に帰りの便。とほほ。(しかし、結局このチケットが僕を救う事になるのでした……)しかも成田発が朝の9:30。フライトの2時間前には空港に行ってないといけないらしいのです。一番良いのは成田近くのホテルを取る事ですって。でも、それじゃあ格安航空チケットの意味が……。

「ニッポンコネクション」は非営利の映画祭で、スタッフは全員ボランティア。総上映数百数十本という世界最大の日本映画祭なんだけど、バックに巨大組織はついてない。だからこそ出来る自由な映画祭なんだけど、お金がないから旅費や宿泊費も出ない。で、本部からメールありました。
「ホームステイ先は、男性カップルの家だけど構わないか」
はいはい、全然構いません。なんたって『人喰山』のテーマは「ラブ&ピース」ですから。フランクフルトはどんな町だろうと、観光HPを調べてみたら……。
http://www.frankfurt-tourismus.de/cms/tourismussuite/en/sightseeing_frankfurt_rhine_main/city_tours_visit_frankfurt/index.html
ここの「Discover Frankfurt」を見てみたら、「Gay and Lesbian」なんて項目が。なるほど、フランクフルトは大学の多い町だし、リベラルな気風なんですね。

さて、僕の妹の婿さんは海外旅行の達人。行った事の無い国は無いくらい。で、早速相談しました。すると「朝早いなら、うちに泊まれ」。妹の家は木更津にあるのです。結局前日から妹の家に泊まり、成田まで送ってもらう事に。ドイツへのお土産は岡山の名菓「大手饅頭」。
大手饅頭伊部屋
これは内田百輭も愛したと言う有名なおまんじゅうなのです。でもホームステイ先の大家さんにはお酒の方が良いかも。僕が探してたのは三重県の焼酎「光年」。
株式会社伊勢萬ウェブサイト
これは三重県以外ではなかなか手に入らないんですが、ブランデーとも思えるような不思議なコクのあるお酒、しかも安い! 三鷹で散々探したんですがとうとう手に入らず。ところがこの「光年」が、妹の家の近くの酒屋さんに一本だけあったのです。瓶は埃を被ってましたけど。まさか探してたお酒が木更津で見つかるとは……。なんだか不思議な展開。

という事で、妹の家に一泊。朝五時半起きで成田まで送ってもらいました。無事チェックインをすませて、いよいよ出国検査。パスポートを出して並んでたら、空港の人が女性物の上着を掲げて「これは誰のですか〜〜!」と走り回ってます。
ついに、にいや初の国外逃亡……いや、海外旅行です。飛行機が飛び始めました。太陽を追って飛ぶので、いつまでたっても明るいままです。
飛び始めてすぐに機内食がでました。メニューはカツ丼、またはトマト味のチキン。僕が食べたのはチキン、不味かったです。しまった、カツ丼の方が良かったかも。となりのおじさんのカツ丼は美味そうです。フライト中、三本の映画が上映されました。ゆうばりで見逃した『シャーロック・ホームズ』と、ディズニーアニメ『プリンセスと魔法のキス』。さらに日本未公開のサンドラ・ブロック主演『All About Steve』。
『シャーロックホームズ』は数カット見てパス。ディズニーもパス。
で、ななな、なんと! サンドラ・ブロックの『All About Steve』がメッチャクチャ面白かった!!!ベタベタのご都合主義アメリカンコメディなんだけどカット割がきちんとしてて、僕は70年代の映画と勘違いして観てました。良いですねえサンドラ・ブロック
彼女はこの作品でゴールデンラズベリー賞最悪女優賞・最悪スクリーンカップル賞受賞を受賞したらしいです。しかもきちんとゴールデンラズベリー賞授賞式に出席して、会場を沸かせたとか。

*以下、ウィキより。
授賞式でのトロフィー授与が初めて実現したのは第16回授賞式で、最低作品賞・監督賞など7部門を受賞した『ショーガール』のポール・バーホーベン監督が出席し、「蝶からサナギになった気分だ」とコメントした。以降、第22回の授賞式には最低作品賞・監督賞など5部門を受賞した『フレディのワイセツな関係』の監督・主演のトム・グリーンが、第25回の授賞式には『キャットウーマン』(最低作品賞・監督賞など4部門受賞)で最低主演女優賞を受賞したハル・ベリーらが出席している。その懐の深さに授賞式参加者は満場の喝采を贈った。

特にハル・ベリーは『チョコレート』で受賞したオスカー像を持参して左手に持ち、右手にはラジー像を抱えてアカデミー賞主演女優賞を受賞した際のスピーチパロディーを演じ切り、涙まで流して見せたことで聴衆から大喝采を得た。子供のころに母親から「胸を張って負け犬になれない者は、勝者にもなれない」と言われたことが、出席した理由だと語った。

第30回では最低主演女優賞と最低スクリーンカップル賞を受賞したサンドラ・ブロックハル・ベリー以来の授賞式出席をおこなって会場を沸かせたが、彼女はアカデミー賞の主演女優賞にも選ばれ、史上初めて同じ年に両方の賞を受賞した。ただ、ブロックはこの際に「一つしかないオリジナルのトロフィー」を持ち帰ってしまっており(受賞者にはレプリカが渡されるが、受賞会場に受賞者が現れることはまれであるため、このようなハプニングが起こってしまった)、実行委員会がブロックに返却を求める事態となっている

……とまあ、飛行機にゆられる事12時間。最後の機内食で鮭丼を食べようと思ったら、和食は品切れ。結局再度トマト味のパスタっぽいものを口に押し込み、ついにドイツ到着。うう〜、機内食不味かった。お迎えは長身のステファンさん。まるで映画に出て来る執事のような物腰。
銀髪の美女(すみません、お名前失念)の運転する車で会場に乗り込みました。会場では僕の出演した『こんなに暗い夜』(小出豊監督)が上映中。実は、僕はこの映画に出演しているのです。
ううむ、出品者としてでなく俳優としてもドイツデビューなのでした。
続きは明日! か、明後日!

待てない方は、宮川さん、山岡さん、勝又さんのドイツ紀行をどうぞ。写真満載で豪華です。

宮川ひろみさんドイツ紀行  http://danp.iinaa.net/nipponconnection10.htm
山岡大祐さんドイツ紀行  http://lost.girly.jp/blog/
勝又悠さんドイツ紀行  月面恋文合唱団 : ドイツ・ニッポンコネクション記